経年変化する器
Share
経年変化は磁器とは違う陶器の性質の1つです。
今回は10年以上使った湯呑を2点紹介します。
経年変化の参考にしてみてください。
■約20年使用の粉引湯呑
何度か漂白をしていますが、薄っすらクリーム色のある粉引の地肌は落ち着き、茶渋が浮かび上がっているのがわかります。
口縁部分は顕著に茶渋が浮いてきているのがわかります。
湯呑の底も釉薬の貫入に茶渋が入り、本来目立たなかった貫入が浮かび上がってきています。
上は未使用の粉引地肌。
■約10年使用の志野湯呑
志野独特の梅花皮に茶渋が沈着しているのがわかります。
志野の白さもあって、約10年の使用でも茶渋がしみ込んでいるのがわかります。
こちらの湯呑も何度か漂白していますが、味わい深い風景を作っています。
上は未使用の志野地肌。
■経年変化を愉しむ
「汚れ」と見るか、「味」と見るかは人それぞれで良いと思います。
あまりに気になる汚れになってきてしまうこともあるので、その際は漂白することで、茶渋などは落とすことができます。
ただ、陶器は多孔質な素材でもあるので、漂白をしたとしても完全に元の状態に戻ることはありません。
日々使う、洗う。
その中で変化していく器を愉しむことも、生きる愉しみにもなるかと思います。